にひるなにっき

気の向くままに、気の向かないままに。

ご無沙汰

しばらくぶりの更新。

3月は、卒業旅行から帰ってくると同時に学士(工学)を大学から頂いて、無事卒業…もつかの間、就職する会社の寮への引越し手続きでてんやわんやな日々を送り、4月からは遂に新社会人として社会に放たれ、あっという間に5月下旬。

ようやくなんとか落ち着いてきて、それでも日々研修、資格の勉強。

毎日朝7時に起きるなんて生活、当初は絶対無理だと思いながらも、なんとか早寝を実践して未だに遅刻はしていない。同期は当たり前のように朝通勤してくるし、やっぱり自分だけずれてるんじゃないかという若干の焦りを覚える。当たり前は怖い。

ありがたいことに、土日は十分休ませてくれる会社なので、昨日は大学の旧友(この言葉に違和感しか感じないけれど)と夜遅くまで遊んで、そのおかげで今日は昼過ぎまで寝てた。

人並みに生きてこれているのは、平日は会社、土日は休養という、メリハリのついた生活のせいもあるだろうか。

さらには、祝日ももれなく休ませてくれて、おまけに今年のゴールデンウィークは連休と連休の間の平日も休ませてくれた。

つまりはなんと、9連休という盛大な休暇を取れた。実にありがたいことです…。

本当はもうそろそろ寝たほうがいいんだけど、起きるのが遅かったせいか眠気がまだ襲ってこないので、久しぶりに更新しようかな、と思って今これを書いている。

アレコレを更新します!と高らかに宣言しておいて、全く手を付けていない記事もあるし、この数ヶ月間でいくつか書きたいと思った出来事も出てきたので、少しずつ、覚えていること、感じたことを文章にして、ここに残していきたい。いずれは。

とにかく、まだこのブログは続いていて、今回はその生存報告。

いつ更新するとかはもう明言しないで、できるときに、こつこつ更新していきたい。

書いてるうちに眠くなってきた。社会人になって睡眠の重要性をようやく理解した気がする。

以上、生存報告でした。それではまた。おやすみなさい。

南東北に1泊2日で雪を見に行った -1日目 鳴子温泉-

前回の続き。

bound4aomori.hatenablog.com

 

アラームで起きた。

シャワーを浴びて、顔を洗い、髭を剃り、淡々と出発の支度を済ませる。

忘れ物がないかを何度も確認してからドアを開ける。

冬の冷たい風が吹き付け、心地が良い。少ししか寝ていない頭に冴え渡る。

今年初めての外の空気だった。

いつも通り西武線で池袋に出てから、埼京線に乗り、赤羽で上野からやってきた列車に乗り換える。

上越線のときは5時23分の高崎線普通高崎行き821Mに乗車したが、今回はそれより3分早い、5時20分の宇都宮線普通宇都宮行き521Mに乗車する。

これが昨日であれば混雑したのであろうが、この日はホームは人がまばらで、車内も本当に空いていた。

 

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宇都宮行きの車内

外は真っ暗だ。

それでも段々と夜が明けてくる。感覚的には初日の出を見るようだった。

幾度となく行き来した宇都宮線は安心感があった。

 

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新幹線の高架が見えてくる

もうすぐ宇都宮だ。

この日、東北本線は黒磯から新白河までの間で運休があるということだった。

早朝と終電の列車がそれに該当し、もしかしたら足止めされるかもと若干不安を覚えながら北上をする。

 

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宇都宮駅

黒磯に向かう。恒例のメルヘン顔の209系が出迎えた。

しばしロングシートに揺られながら、そういえば新白河で系統分離してから初めて東北本線に乗ることに気づく。

以前の記事に書いたのをうっすらと思い出していた。

 

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東北本線普通新白河行き

黒磯に着くと、E531系がいた。

E531系の東北本線方向幕。新鮮だった。いや、違和感のほうが強かったか。

結局、電気設備工事による影響はなかった。定刻で黒磯を発つ。

 

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黒磯駅東北本線下りホーム発車標

おそらく「新白河」という文字を付け加えたであろう発車標。

新白河まで20分ほどの短い時間をボックスシートで過ごす。車窓は東北本線で、気分は常磐線だった。

 

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線路上に置かれた車止め

新白河に着くと、本来繋がっていた線路は物理的に分離されていた。奥には乗ってきたE531系が見える。

なんというか、頑なにここは通さないぞ!という強い意志を感じるコンクリートブロックである。

 

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東北本線普通郡山行き

そのコンクリートブロックを通り越して、本来つながっていた線路の上にE721系がいた。

郡山へ向かう。

 

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白河城

新白河から1駅の白河から小さく見える白河城。これもいつもの光景。

途中、鏡石あたりで列車は徐々に遅れることに。強風の影響だった。

郡山では20分ほどの乗り換え時間があるので、そう焦ることはなかった。徐行して走るE721系にエールを送る。

 

結局、25分ほど遅れて郡山に到着した。

新白河から乗ってきた普通郡山行き2127Mの列車が、そのまま普通福島行き1133Mになった。この運用には何度か遭遇しているけれど、毎回こうなのだろうか。

というわけで、遅延による接続待ちどころか、車内から1歩も出ることなく福島に直行することに。

さっきまで徐行していたのに、郡山を出ると途端にスピードを出し始めたE721系。強風は大丈夫かなと一瞬心配になる。それとも弱まったのかな。

 

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福島駅手前で見えるガスタンク

特徴的なこの緑色の球体が車窓に映ると、もうすぐ福島だなと実感する。

福島では乗り換え時間が30分ほどあった。

とりあえず駅を出る。

 

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福島駅東口

快晴だった。

地面にはところどころ、黒く泥で汚れた雪が端に寄せてあった。

福島ではよく乗り換え時間が発生するので駅から外に出ることが多いのだが、実際にはこの駅前広場より先に出たことがない。

毎回歩き回るには微妙な時間なので、それなら駅ナカで買い物をしようと思ってしまうのである。

今回も例に漏れず、駅舎を一望して満足し、駅へ戻る。エスパルを軽く見て回って、NEWDAYSで軽食を買い、ちょうど列車が入線してくる時間になるので、乗車をする。

 

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福島駅改札口

次に乗るのは、快速仙台シティラビット3号仙台行き3573M。

E721系の充当だった。

 

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酪王カフェオレ

NEWDAYSで買った、福島県民のソウルフードならぬソウルドリンク「酪王カフェオレ」を飲みながら仙台を目指す。郷に入れば郷に従え、である。

 

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仙台駅

着いた。

久しぶりに来た気がしないのは、8月に来ているからか。

それでも、ここまで来ると、安心感と達成感に包まれる。

 

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仙台駅構内

大きい。何も知らない人が、ここは東京の駅だと言われたら納得してしまうだろう。

 

仙台より先の旅程をこれまでの道中考えていたのだが、これから山寺を観光しようとしても、着くのが昼過ぎになってしまう。

正直それでも良かったのだが、明日の朝、早い時間に訪れて、人の少ない山寺を観光したほうが雰囲気もいいし、お参りというのは本来午前中にするものだということを知ったので、明日に回すことにした。

今日は鳴子温泉に向かうことに。

このまま東北本線をさらに下り、小牛田へ向かうのだが、次の列車まで時間が余っている。

元旦の翌日なので果たして温泉施設は空いているのかという不安もあったので、駅ナカの観光案内所でその情報を聞くことにした。

係の方によると、情報そのものが入ってきていないので、わからないとのことだった。

親切にも、鳴子温泉のパンフレットに問い合わせの電話番号を調べて書いてもらい、駅の近くにも観光案内所があるので、そちらでも訊いてみてください、と教えられる。

係の方にお礼を言って、そろそろ小牛田行きが出る時間なので、改札に向かう。

12時を過ぎていた。起きてからまだしっかりとした食事をしていなかったのだが、不思議とお腹はそこまで減っていなかった。

それでも、鳴子温泉に着くまではだいぶ時間が空く。念のため、途中の列車内で飢えないように、駅弁屋でサンドウィッチを購入した。

そろそろ列車が出る時間だ。急いでホームに向かった。

 

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東北本線普通小牛田行き

2543M。すごく混んでいた。

こんなに混むのか。まるで東京のようだなと、再び感じてしまう。

こういうときこそ、ロングシートであって欲しかったといつもとは反対の感想を持ち、車窓に松島が見えてきた辺りまで立ち乗車。

小牛田に着き、陸羽東線に乗り換える。

 

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陸羽東線普通鳴子温泉行き

キハ110系。調べたらキハ111・112形という車両らしい。

どうも未だに、気動車の形式についてはよくわからない。

一応調べたことを書くと、車体の長さによって、キハ100系とキハ110系に分かれているらしい。前者が16mで、後者が20m。

キハ100系のなかにもいくつも形式があって、同様にキハ110系のなかにもいくつか形式がある。キハ111形と112形はキハ110系のうちの1つ。

キハ111形と112形は片側運転台で、1両単位の運転が可能だが、基本的にはキハ111・112形として運用される。

なるほど、片方にしか運転台が無いのだから、逆方向に進めない。

 

小牛田では乗り換え時間が短く、すぐの発車となる。

なんとか着席することが出来た。思いの外、私と同じことを考えて、東北本線から陸羽東線に乗り換える乗客が多かったのに驚いた。鳴子温泉へ行くのだろうか。

それでも、すぐに車内は空いてきた。小牛田から3駅の古川は、大崎市の中心都市で、地域輸送としての役割が大きいらしい。

小腹が減ったので、サンドイッチをいただく。

 

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仙台牛サンドイッチ

小腹満たしにぴったりだった。

 

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車窓

福島からずっと晴れていた空が、古川を過ぎたあたりで雲に覆われ、雪が降り始めた。

少しずつ強くなる。

強風と雪の影響で、列車は徐行したり、停車したりを繰り返す。

それでも長時間同じ場所に留まるということはなく、終点の鳴子温泉に10分遅れで到着した。

 

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鳴子温泉駅

仙台で案内されたとおり、駅舎に併設してあった観光案内所で、営業中の温泉施設を訊ねることにする。

やはり、年始ということでいくつかの施設は閉まっているみたいだった。

営業中の温泉を紹介してもらい、雪の中歩いて向かうことに。

 

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こけし

鳴子温泉の街並みは落ち着いていて、歩きやすかった。

ただ、寒さには逆らえず、降り続ける雪から逃げるために早足で進む。

 訪れたのは、こちら。

 

共同浴場の「滝の湯」さんと迷ったのだが、タオル類を持ってくるのを忘れたため、こちらの「幸雲閣」さんを選んだ。

若干駅から遠いのだが、歩けない距離ではない。

 

10分ほどで着いた。

入浴料と貸しタオルの料金を含めて、1000円ちょっとだった。

エレベーターで6階の大浴場に向かう。脱衣所は広めだった。

宿泊客がほとんどだった。大きな荷物を背負っていたのは私一人で、目立っていたと思われる。

浴場も広かった。シャンプーやボディーソープも備え付けられている。

お湯は黒湯で、ヒリヒリと肌に弱い刺激が伝わってきた。なかなか良い。

残念ながら、雪の影響で露天風呂は立入禁止になっていた。

ガラス越しで見る雪は情緒に欠けるので、露天風呂に入りたかったのだが、仕方ない。

1時間ほどで出た。

 

 暖まった体を再び雪に晒しながら、駅に戻る。

往路の陸羽東線でホテルを予約したので、あとは仙台に戻るだけだった。

もう1つくらい、温泉に入れるかなと思ったのだが、復路の列車を考えると、そうもゆっくりしてはいられない。結局、鳴子の温泉街を少し歩くだけにとどめた。

雪は止んでいた。

 

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鳴子温泉郷 案内図

道中にあった案内図。ひとまず温泉神社に行こうと思った。

 

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大崎市鳴子総合支所(旧鳴子町役場)

昔町役場として使われていた建物。年始だったので閉まっていた。

このあたりは2006年3月31日までは鳴子町と呼ばれる町だった。

現在では古川市などと合併し、大崎市鳴子温泉という住所になっている。その名残り。

 

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湯めぐり回廊 手湯

駅方向に歩いていく途中にあった。

この時はなんだかよくわからず、とりあえずアーチを潜った先にある建物に入る。

 

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手湯

「手湯」というものを初めて知った。手を入れて楽しむ温泉らしい。

足湯の亜種のようなもの。温かかった。

 

駅の反対方向の道へと進む。

 

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早稲田桟敷湯の横

温泉っぽい光景。一帯にはものすごく湯気が漂っていた。

「早稲田桟敷湯」さんは早稲田大学の学生が掘り当てた温泉だという。

こちらも候補の1つだった。

外観が特徴的で、建物も早稲田の関係者が建てたものらしい。時間があったら是非入りたかったのだが、断念。

 

このあたりは鳴子温泉のメインストリートらしく、浴衣姿に身を包んだ観光客が湯巡りを楽しんでいた。

鳴子温泉には「湯巡り手形」という、お得にいくつもの温泉に入ることができるチケットが販売されている。

帰り際になってこの手形の存在を知り、ショックを受けたのを覚えている。

いつかまた一度来て、私も浴衣姿で街をぶらつき、1日中温泉に入りまくろう、そう決意したのであった。

 

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鳴子温泉神社前

鳴子温泉で最も有名な公共浴場の1つである「滝の湯」さん。

その横には「鳴子温泉神社」という神社がある。

列車の時刻まであと少しだけ余裕があった。駅から若干離れるが、行ってみることに。

 

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鳴子温泉神社 鳥居

日も落ちてきて、いい感じの雰囲気になっていた。こういうところは、テンションが上がる。

奥の階段を上り、境内に入る。

 

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鳴子温泉神社

私以外誰もいなかった。本殿まで続く雪の足跡を辿る。

辺りはシンとしていて、もう半端じゃないくらい神秘的だった。雪化粧がさらにそれを際立たせている。

雪を踏む音だけが響いていた。

 

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本殿

参拝。"初"詣だった。

今年1年の無事と平安に加え、半分終了したこの旅の成功を願う。

何年ぶりかわからない初詣を終えると、時間も時間なので、足早とその場を立ち去ることにした。

 

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陸羽東線普通小牛田行き

ホームに着くと同時に列車が入線。

1740D。陸羽東線仕様のキハ111・112形だ。緑と赤のラインに、前面には奥の細道と書かれてある。

これから仙台に戻り、あとは寝るだけ。

帰りの列車はずっと寝ていた。小牛田に着いてもしばらく起きなかったので、危うく東北本線上りの仙台行きに乗りそびれるところだった。

 

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ハピナ名掛丁

仙台に帰ってきた。

今知ったが、「なかけちょう」と読むらしい。仙台のアーケード街である。

夕食をいただくお店を探す。

 

 

市街をぐるぐる回っていたが、めぼしいお店もなく、行列ができていたここに決めた。

列には並びたくなる質なのである。

仙台では有名なラーメン店らしく、いつでも行列ができているらしい。

牛タンとも迷ったが、仙台に来るたびに牛タンを食べていたのでたまには趣向を変えてみた。

 

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中華そば(大)

食券を買い並ぶこと10分、席に通される。

5分ほどで着丼した。

見た目ほど濃くなく、美味しかった。ネギ入れ放題だったのも良い。

量に関しては(大)というほど多くなく、腹6、7分目ほどだったので、若干の物足りなさを感じながら退店。ごちそうさまでした。

 

1日中動いていたせいか、空腹が満たされると同時にものすごい眠気が襲ってきた。

予約した宿に直行することに。

国分町に宿を取っていたので、地下鉄で向かう。

仙台市営地下鉄南北線で仙台から2駅の勾当台公園で下車。

東北の歌舞伎町とも呼ばれる国分町は、飲み屋街が立ち並ぶ繁華街。

せっかく来たのだから国分町周りをぶらぶら歩いても良かったのだが、明日は朝早く山寺へ行く予定なので、我慢した。

コンビニで夜食などを購入し、チェックインを済ませて、就寝。

アラームは5時にセットした。起きれますように。

1日目終了。

 

続く

南東北に1泊2日で雪を見に行った -序章 寝正月から一転して-

年が明けた2018年1月1日は、ぐったりと一日中家で寝ていた。

前日の12月31日に、東京ビッグサイトで行われたコミックマーケットに朝から参加し、その反動で疲れ果てていた。

起きたのは夕方ごろ。元旦という貴重な1日を半分以上失ったことによる喪失感で、そのまま二度寝をしようかとも思った。

 

いわゆる寝正月だった。

毎年、年末こそ有明で忙しいが、反対に年始は家でぐったりすることが多かった。

今年の帰省は家族の都合でなくなったし、このままでは東京に引きこもることになる。

出かけようかな。くるまった布団の中で、3回分余った青春18きっぷを思い出す。使用期限は10日まで。

まとめて使うとなると、明日明後日の残された三が日しかタイミングは無い。

このままではいけないと思い、飛び起きた。

そして、明日の始発に向けて荷造りをしながら、旅程を考え始めた。

 

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雪を見たいと思った。

先日の上越線の件で、嫌というほど雪を見て、そして雪のせいで危うく帰れなくなるという経験をしたはずなのに、それでも雪を見たかった。

ただ、流石に上越線にはもう乗りたくなかったので、目的地を東北に決める。

東北となると、日帰りはきつい。さらに、残った青春18きっぷを少しでも消費したかったので、泊まる前提の旅程を立てることにする。

 

その上で、初詣を今回の旅の目的にしようと思った。

ここ数年、初詣には出かけていない。昔は地元の神社にお参りしていたが、それも億劫になってしまっていた。

これまでお参りしていなかった分を取り戻そうというわけではないが、ご利益のあるところへ初詣に行こう。そう思った。

東北の初詣スポットについて調べていると、いくつか出てきた。

遠いところでは青森の善知鳥神社や、岩手の盛岡八幡宮などがヒットしたが、今回は1泊を想定していたのでちょっと厳しいかと思い、断念。北東北というよりは南東北に絞って調べることにした。

ふと時刻表の路線図を眺めていると、目に入ったのが「山寺」の文字だった。

仙台と山形を結ぶ仙山線の山形寄りにある山寺は、一度訪れてみたい観光地の1つだった。

当初、初詣は神社のイメージがあったのだが、調べてみるとお寺でも問題ないことを知る。

駅から徒歩でお参りできるアクセスの良さにも惹かれた。山に登る必要はあるが。

この機会に山寺に訪れることにした。

 

宿はビジネスホテル、もしくは安く済ませるためネットカフェにしようと思っていた。

山寺となると、仙台か山形に泊まることになるだろう。

ひとまず仙台を中心に考えて、他に観光できるところを探す。

いろいろ調べていると、「青春18きっぷで行く温泉番付」なるものがヒットした。

平成19年6月8日発行の月刊誌「旅の手帖」7月号において紹介されていたものらしく、青春18きっぷを使って訪れるのにふさわしい、つまり駅から徒歩で入れる温泉地が「東番付」と「西番付」に分かれ、いくつも書き連ねてある。

ドンピシャだった。これはちょうどいい。参考にしよう。

今回は東北なので、東番付に注目した。

東番付では、「草津温泉公共浴場」が"前頭"、「青森市内温泉銭湯」が"小結"、「黄金崎不老ふ死温泉」が"関取"、「吹上温泉『吹上露天の湯』」が"大関"となっており、そして最もランクの高い"横綱"として「鳴子温泉郷」がランクインしていた。

仙台から2時間ほどでアクセスできる鳴子温泉は、この番付にふさわしく、駅から歩いて温泉に入ることができる。いくつもの温泉施設が点在しており、その中から選ぶのも楽しそうだ。

仙台から東北本線を下り、小牛田で陸羽東線に乗り換えて、山形との県境を越えないあたりにある。陸羽東線は小牛田と新庄を結ぶローカル線で、別名「奥の細道湯けむりライン」となっており、鳴子温泉のための観光路線のようだった。

 

ということで、「山寺」と「鳴子温泉」この2つを今回の旅の目的とした。

ここで時計を見ると、日付が変わっていた。1月2日。元旦が終わった。

荷造りに調べ物をしていたせいで、出発当日の深夜2時を過ぎていた。

始発に乗るためには4時過ぎに家を出なければならないので、まだわずかながら寝れる。

アラームをセットし、寝た。起きれることを願って。

 

続く

あけましておめでとうございます

そういえば、まだ年始の挨拶がまだでした。(遅すぎる挨拶ですが…)

昨年の10月終わりに立ち上げた当ブログですが、2ヶ月がたった現在もなんとか続けられていることに驚いています。おそらく、私のいままでで最も長く続いているブログです。飽き性も大概にしなければ。

1ヶ月とか長い間放置したり、もしくはその反対に1日に何度も投稿したり、気まぐれでアップしている状況ですが、このスタンスを保っていきたいと思います。

あと、ブログ名変えました。安直に変えてもいいのかわからなかったけど、変えました。これも気まぐれです。全てはその時々の気分なのです。

以上報告でした。

年末に上越線に乗ったら新潟から出れなくなった話

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早朝5時前の池袋

12月27日.2017年の冬の青春18きっぷ2回目は,まだ夜も明けきれない5時前の池袋から始まった.

年末だっていうのに,深夜とも早朝とも表現できる4時前に無理やり体を起こして,眠い体を引きずりながら西武池袋線の一番早い池袋行きに乗り込む.

上野を5時13分に出る高崎線始発に間に合わせるためである.

西武池袋線の始発に乗って池袋からこの列車に追いつくためには,埼京線に乗って赤羽で乗り換えなければならない.

池袋を5時2分に出る埼京線川越行きに乗り,5時10分に赤羽着.それから5時23分に出る高崎行きに乗り継ぐ.

 

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5時過ぎの赤羽駅宇都宮線高崎線ホーム

20分に宇都宮線,23分に高崎線が出るホームには,列車を待つ人たちが静かに並んでいた.どちらも上野始発である.

先に出る宇都宮線宇都宮行きにそのほとんどが乗車し,後続の高崎線はホームに残った人たちが乗り込んだ.

上野からの乗客も少なく,車内はガランとしていた.

端の車両に乗車し,ボックスシートを独り占めして,これからの予定を練る.

 

この日は,飯山線に乗ろうと思っていた.途中,温泉地を幾つか経由するので,そのどれかに入れたら…とも考えていた.ちなみに日帰りである.

飯山線を乗り潰すだけなら始発でなくともその日のうちに戻ってこれるのだが,それだけでは味気ないと思い,青春18きっぷの醍醐味である"途中下車"をしようというわけ.

何度も通り過ぎたことはあっても未だに降りたことのない越後湯沢で降りて,越後湯沢温泉に入ってもいいし,飯山で降りて,野沢温泉に入ってもいい.

以下が簡単な旅程である.

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池袋 → 埼京線 → 赤羽
赤羽 → 高崎線 → 高崎
高崎 → 上越線越後川口
越後川口飯山線 → 豊野
豊野 → しなの鉄道 → 長野
長野 → 篠ノ井線塩尻
塩尻中央本線 → 新宿
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豊野から長野は別途運賃が必要.でもたった3駅なので250円で済む.

時間が許せば,長野にも降りて,街を散策しようと考えていた.先日訪れた松本と,どれほど規模が違うのか興味がある.

 

…みたいなことを,高崎線の車内でノートパソコンと時刻表を広げて考えていた.

しばらく経っても車内はガラガラで,人の出入りもほとんどなく,作業に集中していたのだが,高崎が近づいてくると次第に人が増えてくる.

急いで荷物をまとめると共に下りる準備を始めた.

 

7時前の定刻通り高崎に着き,改札階にあるNEWDAYSで食料を買い込んだ.朝食がまだだったので,お腹が減っていたのだ.それに,これから本数が極端に減る区間に入ることもあって,念のため多めに買うことにした.

上越線水上行きのホームに向かうと,重装備のスキーヤーが列車を待っていた.

しばらくして列車が入線してくる.115系を置き換えまくっている211系.

211系は,雪まみれだった.車体のどこを見ても雪がくっついている.

この時まで,大雪警報が出ていることを知らずにいた.朝からすごい雪らしい.

すぐにスマホで運行状況を確認し,上越線上りが遅延していることを知る.

下りは平常運転だったが,嫌な予感が拭いきれない.

 

しかし,飯山線に遅延の情報はなく,上越線上りも少しの遅延らしかったので,そこまで深く考えずに強行することにした.

今思えばこの時点でやめておけばよかったと思う.

 

雪まみれの211系に乗車,しばらくして定刻通り発車した.

朝日が眩しく,渋川を過ぎた辺りではカーテンを下ろす乗客もいたほどだ.

そんな中,しばらくロングシートに揺られていると,隣の家族連れの子供が

「雪だ!」

と叫んだ.

雪が降っていた.

高崎ではおひさまが顔を出していたのに,トンネルを幾つか越えただけで大雪になっていた.

窓は結露で水滴が一面に張り付いて,外界の雪を反射して白く染まる.

久しぶりに見た雪で,一気に旅情が増す.

途中,駅に着いてドアが手動で開けられる度にちらっと外の様子が伺えて,大雪が降っていることを確認することが出来た.ホームには雪を除雪する駅員の姿が.

 

そうこうしているうちに水上に着いた.

 

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水上で乗り換え

引き返そうかと思った.

ホームに立っているだけで屋根と列車の間から雪が舞い込んで来る.

屋根のないところでは膝下まで埋まるぐらいの雪が積もっていた.

しかし,そんな意志とは裏腹に,長岡行きの列車は遅延もなく平常運転で,特に遅れる様子もなかったので,疑りながら予定通り北上することにした.

上越線は雪に強いなと感心しながら跨線橋を渡って長岡行きのE129系に乗る.

このE129系も同じく雪まみれで,211系よりも雪を被っていた.

高崎からの乗客の約半分が長岡行きに乗り継ぎ,若干混雑していた先ほどの高崎からの列車よりはだいぶ座席に空きがある.

色々迷っていたが,結局,越後湯沢で途中下車することにした.寒さでお湯に浸かりたくなったのだ.

水上から越後湯沢までは1時間ほどで着く.

ロングシートで食べづらかったおにぎりを,ボックスシートでようやくいただきながら,列車は水上を発車した.

 

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越後湯沢に停車中のE129系普通長岡行き

着いた.

向かいにはほくほく線の車両が停まっていて,越後湯沢まで乗り入れていることを知る.

というかそんなことなんてどうでも良くなるぐらい寒かった.

軽装備過ぎた.上着や防寒具など,色々問題だったが,なにより靴が問題だった.スニーカーを履いていた.

水上のホームを歩いているだけで雪が染み込みそうで怖かったのだが,間違いなく染み込まざるをえないだろうと,越後湯沢のホームに降りて確信する.

さらには冷気が足に直接響いてきた.このままじゃ風邪引く.

この天候じゃ色々無謀じゃないかな,と怖気づきながら階段を上り,改札を出る.

 

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越後湯沢駅改札

左が在来線で右が新幹線.

駅構内は広く,お土産店や屋台が軒を連ねる.

極端に本数の少ない上越線の駅だと思って甘く見ていたが,よく考えると新幹線も通っているし,何よりスキーに温泉と,周りには観光資源も豊富で,大きくないわけがなかった.

しかし,朝が早くそれらの営業はまだだったので,帰りに寄ろうと決めて,とりあえず観光案内所で地図を貰おうと構内をさまよう.

ガラスで仕切られていた観光案内所はカフェが併設された待合室と同じ空間にあった.

受付でこれから向かう温泉についての情報を聞く.

高崎線内で調べて,越後湯沢から徒歩圏内で朝から営業していたのは「山の湯」さんという公共浴場1つだけだった.評判もなかなか良かったので,楽しみだ.

一応年末なので営業しているか不安だったのだが,平常通りらしい.山の湯さんまでのアクセスは無料のバスが出ているらしく,親切にその発着時刻と帰りの時刻も教えてもらうことが出来た.

ただ,この大雪なのでそこに関しては不確定要素があるとのこと.

というわけで,ひとまず指示されたバス停に向かうことにした.

 

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越後湯沢駅西口

駅を出た.

歩道にも,車道にも雪が積もりに積もっていた.

駅前は除雪されているものの,ロータリーを出て少し行くと途端に除雪しきれいていない道が延々と続いている.

近くには除雪中の除雪車が一生懸命に雪を吹き飛ばしているが,完全に間に合っていない.

さらにその吹き飛ばされた雪たちは歩道側に積み重ねられ,つまり歩道は雪で埋もれていた.歩行者は車道を歩くしかない状況だった.

雪国では普通に見られるこの状況も,雪と縁遠い存在である東京に住む私にとってはある意味恐怖の対象でしか無く,完全にビビっていた.

駅前通りなので車の往来も多く,歩行者は完全に邪魔者.

何度もタイミングを見計らってようやく流れが途切れたところで道を横断しようと思い切って足を踏み込み,布でできたスニーカーは一瞬で雪に侵され靴下に届くか届かないかというギリギリだった.

足元が冷えるのを我慢しながら雪の少ない地面を選んでようやくバス停に辿り着くと,そこに誘導係のおじさんが立っていた.

そこは"バス停だったところ",という表現のほうが正しく,本来のバス停は雪で歩道が潰されたので文字通り消滅している.車道に並ぶしかなかった.

親子のスキー客が1組並んでいるだけだったが,誘導係のおじさんは彼らが車に引かれないように監視する役割を担っていた.

さらに,このバス停に発着するバスには幾つもの系統があり,行き先がそれぞれ違うのでバスが到着するたびにバスの運転手と確認を取って乗客がいないことを知らせていた.

親子のスキー客の後ろに並ぶと,おじさんがどこに行きますか?と聞いてきた.

 

私「山の湯さんに行きたいので,○○(最寄りの旅館名)前の停留所で降りたいんですけど」
おじさん「ああ,山の湯さんね」

私「もうすぐバス来ますよね?」

おじさん「この大雪だからもういつ来るかわからないなぁ」

私「???」

おじさん「時刻表どおりに動いてないんだよね.申し訳ないけど,待つしか無いよ」

 

それから30分待って,バスが来た.

その間,ずっとおじさんと昨晩から降り始めたとか,大雪で完全に麻痺してるとか,そういう話をしていた.上越線もこのままだとやばいんじゃないかなというありがたい(?)情報も頂いた.

大雪が降り続ける中じっと屋根のないところで30分待つのは中々に苦行だ.5分おきにフードやバッグに積もった雪を払い落とさなければならないし,マフラーの間から首筋に雪が伝ってきてヒヤッとしたり,ついには靴下にまで浸水した雪の気持ち悪さに耐えなければならない.

 

バスに乗り込むと5分ほどで停留所に着いた.

停留所を下りて,坂を上ると山の湯さんがあると観光案内所の方が教えてくれたのだが,その坂には雪解け水がとめどなく流れ,上り切る頃にはいよいよ冷水に靴を履いたまま足を浸したような状態になった.つまりもうびしょびしょだった.

 

 

駅を出てからカメラをバッグにしまったので山の湯さんの写真はないが,外観だけでかなり趣のあるところだった.

入口を開けると,受付で管理人のおじさんがご苦労様と気遣ってくれた.

券売機で入浴料と貸しタオル料を支払い,出てきた券をおじさんに渡し,さっそく風呂場に向かう.

左手には石油ストーブの焚かれた畳敷きの休憩所があり,一面の窓から降り続ける雪を見ることができる.

脱衣所で濡れた靴下を脱ぎ,しばらく乾かす.よくこんなの履いていたなという具合に靴下は濡れていた.

 

いよいよ風呂場に入る.

シャワーはなく,ジャグジーから出てくる源泉かけ流しのお湯を洗面器に溜めて体を洗う.

シャンプーやボディソープは備え付けてあった.公共浴場なので無いかと思っていたが,これはありがたかった.

全て洗い終えると,お湯に浸かった.

若干ヌメヌメしていて,硫黄の香りもするが,そんなに強くない.温度は高めで,好みの湯加減だった.

雰囲気もいいし,お湯もなかなか.営業時間だけを決め手にここを選んだが,正解だったようだ.

1時間ぐらい湯船に浸かっていた.このまま駅に戻って東京に帰るつもりでいた.正直予想外なことが多すぎて疲弊してしまった.

もう出ようかなと思ったところで,地元の方が入ってきて,雪がすごいですねとか,どこから来たんですかとか,話が弾んでしまって,これは嬉しいハプニングだった.地元の方との交流はなかなか楽しい.

のぼせる寸前でお湯を出て,着替えた.靴下はまだ若干湿っていたが履けるほどにまで乾かした.

座敷でストーブに当たりしばらくボーっとしてからバス停に向かう.

心身ともに安らいだ後に,また雪道を進まなければならないと思うと気が重かったが,それ以外に方法がなかったので外に出た.

 

往きに降りた停留所でしばらく待っていたのだが,案の定バスは来ない.こんなことだろうなと思いながら30分経ち,そのまま1時間が経とうとしていた.もうフードに積もった雪を払い落とすのは諦めていた.

おかしい,来ない.

もう上越線上りの発車時刻は過ぎていた.次の水上行きは3時間後だった.

もう色々どうでも良くなっていた.足の感覚はなくなってるし指先がどうなってるのかもわからない.山の湯に戻ろうか.もう一度湯船に浸かろうかな.

意識も薄らぎそんなことを思っているとようやくバスが来た.

どこへ行くか念のため訊ねると,どうやら越後湯沢ではなくガーラ湯沢行きのバスらしい.

もう笑ってしまう.とにかくこの状況から抜け出したくて,ガーラ湯沢行きのバスに乗った.とにかく屋根のあるところに行きたかった.

脱衣所で乾かした靴下は再びびしょ濡れになっていたし,全身は冷えて何のために湯船に浸かったのか分からない.

10分ぐらいでガーラ湯沢に着いて,新幹線で越後湯沢に戻ってそれから在来線で帰ろうと思っていたのだが,次の東京行きは2時間後で,もうやれやれ状態.

しばらく駅構内をぶらぶらして,越後湯沢行きのバスが出るとアナウンスがあったので,再びバスに乗車して越後湯沢に戻ってきた.

 

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屋台

お腹が減って仕方がなかったので,屋台で五平餅を購入する.ついでに隣の売店にも寄り,帰りの車内で食べるための駅弁を買う.

ようやくゆっくりできる.そう思いながら近くのベンチに座って五平餅を食べていると,アナウンスが聞こえてきた.

 

上越線,上下線ともに大幅な遅延をしております」

 

急いで窓口で事情を聞きに行った.

越後湯沢のポイントが故障しているのが大きな原因で,更に上越線全体が大雪による除雪作業のため遅れているらしい.

駅員によると,あと10分ほどで越後湯沢に到着するはずの下り長岡行きは,たったいま水上を出発,途中駅で除雪による停車をするため,さらなる遅延が見込まれるという.

肝心の上り水上行きに関しては,現状ではどうなるかわからないとのこと.

ありがとうございました.と礼を述べ,一旦待合室に入ることにした.

 

かなり面倒なことになった.

東京に帰るための列車がどうなるかわからないのは相当まずい.

待合室でこれからの行動を考える.

下手に動くのはやめて,しばらく待ってみることにする.

しかし,越後湯沢駅構内は土産店,スポーツショップやレストランなど,観光者向けの施設は多いが,決して都市圏の駅のようになんでもあるわけではない.

高崎線内で飯山線に乗ろうとか計画していた数時間前のことが,遠い過去のように思えてくる.

時刻は13時を回ろうとしていた.時間は止まってくれない.

 

そして,なぜか上越線下りの列車に乗って長岡に向かった.

 

当時の思考回路は今考えてもよくわからない.

多分,自分が感じていた以上に切羽詰まっていたのかもしれない.

もしこのまま越後湯沢に閉じ込められるのならば,長岡で閉じ込められたほうがマシだと思ったのかも.

少なくとも長岡は越後湯沢よりは栄えている.過去に長岡のホテルに泊まろうとしたことがあって,調べた記憶がある.

越後湯沢の駅周辺になにもないことが怖かったのかもしれない.いざという時のためにある程度規模の大きい都市に逃げようとしたのかも.

確かに越後湯沢から最も近い都市は長岡だった.

新幹線を使おうという考えは微塵もなく,それならば長岡に行こう,ということだろう.

新潟県第2位の都市圏に降りてみたかった気も無くはなかったかもしれない.

 

謎の行動原理で長岡を目指すことにした私は,次の列車を調べた.

幸運なことに越後湯沢始発の下り上越線は動いているらしい.13時13分発の長岡行きに乗り込む.

遅延による待ちぼうけを食らった人たちが多くいたにも関わらず,車内は空いていた.

この遅延の嵐の中,定刻通り列車は動き出した.

安心感(?)からか,空腹が襲ってきたので予め買っておいた駅弁を食べる.

 

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魚沼産コシヒカリ 牛~っとコシヒカリ

非常に美味しかった.空腹は最高の調味料である.

冷蔵庫のような気温の中に放置しておいたにも関わらず,肉は柔らかく,ご飯も美味しかった.

一瞬で平らげて,睡魔に襲われる.長岡まで寝てしまった.

 

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長岡に到着

着いた.

 

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長岡駅在来線改札口

改札を出て,すぐ目に入った無印良品へ直行して靴下を買った.

これだけで長岡に来て良かったと思えた.便利なのはいいことだ.

濡れた靴下の気持ち悪さから解放されると,近くのスタバで落ち着くことにした.

コーヒーを飲みながら,周辺のビジネスホテルを調べる.

新潟市に次ぐ都市圏なだけに,かなりヒットした.ネカフェも複数あったので,少なくとも野宿することはないだろう.

もう宿泊予約をしてしまおうかと思ったが,一応まだ帰れないと決まったわけではないので,幾つか目処を付けておく.

上越線の運行状況は,やはり越後湯沢でのポイント故障の影響で大幅な遅延をしているらしい.あれから事態は好転してはいなかった.

スタバを出て,駅の外に出ることにした.

 

長岡でも雪は降っていた.

それでも,越後湯沢や水上に比べたらずっと小降りで,積雪も少なく,歩くことに不自由はしなかった.

駅周辺を少し歩く.

長岡城址がある長岡駅西口の街並みは,駅舎の前にロータリーが大きく展開されていて,その上を駅直結の歩道橋が走り,駅前通りへと伸びている.

飲食店と言っても,ほとんど居酒屋しかなく,新潟駅と似ているなと感じた.

駅ナカが非常に発達していて,駅前はそこまで,と言った印象だった.

 

特にめぼしいものも見つからなかったので,駅に戻り,改札前の発車標を確認していると,もうすぐ上越線上りが出るとのアナウンスがあった.なんと定刻通りの発車らしい.

時刻表通りならあと数分だ.急な判断を求められ,とりあえず,もし乗ることになっても飢えないように近くのNEWDAYSで食料を買って,改札に戻る.

もしかしたら今日中に東京に戻れるかもしれない.淡い期待に誘われた.

いま一度運行情報をスマホで確認し,"運休"ではなく"遅延"という文字を確かめる.

大丈夫,動くことには動くんだ.

渋川まで辿り着けるならば,イコール帰れるのだということだ.

長岡を発って池袋に着く終電はあと3本程あとなので,もし途中で遅延によって数時間遅れても,まだ取り返しはつくはず.

最悪,高崎以降の終電が終わってしまっても,高崎周辺なら宿泊の手段なんて山ほどある.よし.

 

16時32分発の上越線普通水上行きに飛び乗った.

 

これがいけなかった.

 

この結果,車内に5時間以上閉じ込められた.

 

まず,長岡を出発して数駅を過ぎたあたりで,1駅ごとにかなり,長時間の停車があった.

そのおかげでずるずると到着予定時刻は遅れ,六日町に着いた頃には1時間も遅れていた.

 

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浦佐駅に長時間停車中

度々,「除雪のため停車いたします」という放送が流れる.

ああ,なんということだろう,と嘆いたが時はもう既に遅かった.やはり長岡に留まっておけばよかったのだ.

そうして,六日町停車中.車掌から突然「水上から先に行かれるお客様は車掌までお知らせください」とのアナウンスがあり,車内は騒然となった.

放送の仕方からして,水上から先に行けないのか?と誰もが疑問に思っていたと思う.

指示通り,水上より先に向かう乗客たちが,一斉に列車の最後尾に押し寄せる.あとになってわかったことだが,乗客の過半数が東京へ帰る人達だったのだ.

結局,埒が明かなくなり,車掌が車内を周り,一人ひとりの目的地を訊く事態となる.

この列車の乗車率はかなり高く,それだけでかなりの時間を要したように思えた.

その後も,車掌からは「遅延している」という旨の情報しか与えられず,車内は更に緊迫した空気に.

しばらく六日町から動かなかった列車が動き出した.それからは比較的スムーズに上り方面に走っていたが,石打で再び停車した.

Twitter上越線の運行状況を調べると,前を走る1時間前に長岡を発車した列車が越後湯沢で運行をやめていたとの情報を得る.

それからは越後湯沢から水上まで代行バスを手配して乗客を運んだということだった.乗客は無事水上までたどり着いたらしい.

水上から先,高崎行きは通常通りの運行をしていた.

もしかしたら私たちも越後湯沢で代行バスに乗り水上まで行けるのではないか.そうすれば東京に帰れる.

と思った矢先に,再び車掌からアナウンスがあった.

 

越後湯沢駅のポイント故障のため,この列車はこれ以上進むことが出来ません」

「そのため,これより参ります下り長岡行きに乗り換え,浦佐駅までお戻りください」

 

越後湯沢にすら辿り着けないと言われた.

それどころか,来た道を戻る指示を与えられてしまったのだ.

流石に,もう,ダメだと思った.帰れない.

それからしばらくして,長岡行きがやってきた.指示通りこの下りの車両に移る.

車内は元々5割ほど埋まっていて,そこに私たちが乗っていた水上行きの乗客が乗り込んだことでかなりの混雑となった.

追加のアナウンスがあった.

 

浦佐まで行かれましたら,新幹線で東京方面にお乗り換えが出来ます」

 

暗に,もう新幹線しか方法は残っていないと言われた.まぁそうだよな.

そうして,列車は順調に北上して,浦佐に到着した.

 

乗客が次々と降りる.乗ってきた列車は車体がだいぶ軽くなって,悠々と長岡へ歩みを進めた.

疲弊しきった私たち乗客を駅員は改札口へと誘導する.

新幹線の改札口へと通された私たち.待合室前の広い空間に集められた.

駅長らしい人物がメガホンを片手に,これからの指示を促す.

ひとまず,この度は申し訳ありませんでした,というお詫びに続き,現在上越線は大雪のため運休を決めていて一切動かないという状況確認,その後に,これからの対策.それは.

 

「今いる浦佐駅から高崎駅までの運賃は頂きません」

 

つまり,高崎より先,東京までは自費で帰ってくれとのこと.

列車に乗っていた人数は思っていたよりかなり多く,おそらく100人近くいたと思う.

高崎まで乗る人はその中の10人足らずで,私を含むそれ以外の乗客は大宮や東京まで乗る必要があった.それは,駅長が挙手でどこまで行かれるかというアンケートを取って調べた.

その中のひとりが反発した.

 

私たちは何時間も車内に閉じ込められた.大雪なのは仕方がない.その点に関してはJR側に落ち度はない.

しかし,車掌に指示されたとおり,それ以外の解決手段が提示されなかったため,仕方なくこの浦佐駅までやってきたのだ.行動が制限された中,突然浦佐駅で解放され,自費で帰ってくださいはあまりにもひどすぎるのではないか.

 

という内容.結局,東京までの運賃も負担するよう要求をした.

駅長は予め予感しておいたのか,すぐにそれを飲んで,東京まで料金を払わずに帰れることになった.

青春18きっぷなどのフリーきっぷを使用していた人も例外なく,全員が浦佐駅から新幹線に乗ることが出来たのだ.

 

その後,浦佐駅では新幹線が到着するまで自由時間となり,待合室で寒さを凌ぐ人や外のコンビニへ買い出しに出かける人などに分かれた.

東京行きの上越新幹線に乗ってもその日のうちに帰れない人もいて,その人達にはホテルの手配がなされた.翌日以降に帰ることになったらしい.

私たちは乗車券や特急券無しで改札を通り,新幹線に乗車することになった.

乗車したのはMaxとき350号.東京行きの最後の新幹線だ.

自由席に乗車してくださいとの指示があった.自由席はほとんど貸し切りで,1時間ほどで上野駅に着いた.

上野駅では,事情を話すとすんなりと改札を通ることが出来た.

結局,なんとかその日のうちに帰宅することができて,今では貴重な体験ではあるが,この時は本当にホッとした.

もしあのとき,長岡で列車を見送っていたら,もしその1本後の列車に乗っていたら,どうなっていたのか.想像するだけでも怖い.

最善策は長岡で1泊することだったと思う.でもやっぱり,宿泊代と青春18きっぷ1回分を浪費しなくて済んだのは嬉しい.

 

というわけで,最後は青春18きっぷで新幹線に乗って旅は締めくくられた.

おかげでまだ3回分残っている.次は1泊でもしようかな.

終わり.

 

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上野駅を発車して東京駅に向かうMaxとき

片道6時間かけて松本城を見に行った話

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新宿駅中央線快速高尾方面11・12番線ホーム

12月24日.日曜日.新宿駅.クリスマスイブの朝.

前日の夜遅くから,地元のファミレスで中学時代の旧友たちと傷の舐め合いをして,迎えた朝.

目的もなく出かけることにした.

近くの定食屋で朝食を頂き,ひとまず家に戻り,シャワーを浴びて身支度を整え,すぐに再び外へ繰り出した.

池袋についたのは9時過ぎ.

指定席券売機青春18きっぷを購入し,改札できっぷに日付を入れてもらう.

バイト明けからのファミレス徹夜で回転率が低下した頭をそれでも動かして,ひとまず新宿まで出ようという結果に至った.埼京線で新宿まで出る.

 

この日の新宿駅は,やはりいつもの新宿駅とは雰囲気が若干違っていた.

日曜日のクリスマスイブは,いつもは忙しなく騒々しい新宿駅のホームを少し浮かれた雰囲気にさせていた.

しかし,それだけではなかった.こいつの存在があった.

 

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E353系

12月23日に営業運転を開始した新車.

鉄と思われる人たちが中央本線特急列車の発着する9・10番線ホームで写真を撮っていた.

 

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横顔

全身ピカピカでかっこいい.

 

E353系と戯れるのはこれくらいにして,すぐさま中央線快速列車高尾行きに乗り込み,ひとまず甲府まで出ることにした.

端の座席を確保できたので,背もたれに寄りかかり爆睡.

 

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高尾駅

高尾駅に着くと同時に目を覚まして,ホームに降り立った.

 

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天狗像

いつもの天狗像が出迎えてくれた.

ホームのキオスクで食料を確保し,列車を待つ.

 

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普通高尾行き534M

入線してきた211系.

折り返し普通甲府行き535Mとなる.

中央東線の211系は,0番台と1000番台がセミクロスシート,2000番台と3000番台がロングシートらしい.

乗車したのは1000番台.車内はガラガラで,4人がけのボックスシートを1人で使うことができた.

間もなく発車し,甲府を目指す.

中央東線の車窓は中々お気に入りで,ボックス席の窓側に座り,何もせずただぼーっと列車から見える田園や渓谷の景色を眺めるのが常なのだが,今回ばかりは車内の暖房が心地よすぎて大月より手前でいつのまにか眠りこけてしまった.

 

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甲府に到着

高尾のときと同様,気付いたら甲府に着いていた.

 

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甲府駅身延線富士方面5番線ホーム

オレンジ色の駅名標.オレンジ帯の車体.

関東の人間にとって東海の車両は珍しい.

甲府に降り立つと自然と身延線ホームに足が向かってしまう.

 

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甲府駅前ロータリー

改札を出て,駅前に降り立った.

何度か訪れている甲府は,地方都市特有の匂いというか雰囲気があって非常に好きな街だ.

しかも,そこまで東京から離れすぎていないせいか,都会的な印象も持ち合わせている.

それでも街は着飾っておらず,この土地の人柄も素直な印象を受ける.

まあでも,私が単に地方都市が好きなだけなのかもしれない.

 

さて,甲府に着いたはいいが,それからの予定を決めていない.

どうせならもっと遠くへ行きたいが,時間の関係もあるし,今日中に東京に戻らなければならない.明日は今年最後の大学に顔を出す日であった.クリスマスなのに.

身延線で静岡に抜けることも考えたが,乗り潰すだけになりそうで,なにか物足りない.

甲府駅をブラブラしながら働こうとしない頭を無理やり働かせる.

悩んだ末,今回はこのまま中央東線を奥へ進み,スーパーあずさに追い抜かれながら,一度も足を踏み入れたことのない松本を目指すことにした.

未だ,松本城を見たことがなかった.

 

 

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甲府駅改札口

発車標を確認し,次に出る普通小淵沢行きの列車に乗ることにした.

この列車もセミクロスシートだった.高尾からの列車だったようで,甲府駅で多くの乗客が降りた.それでも,小淵沢に向かう乗客もいて,車内は若干混雑していたが,無事着席できた.

またも睡魔に襲われ,座った瞬間に眠りに落ちた.新宿からほとんど眠りっぱなし.

今日,ほとんど車窓を眺めていない.もったいないことをしたなと今になって思う.

 

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小淵沢駅 駅舎

小淵沢に到着した.

次の列車まではまだ30分ほどある.比較的ゆっくりできそうだ.

前に来た時はもっとボロくて小さかったはずの駅舎.

いつの間にかこんなに大きく立派になっていた.というか展望台が出来ていて驚いた.

 

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駅直結の展望台入り口

4時間は車内で睡眠を確保し,流石に節々が痛くなった体を引きずり改札を出て,展望台へ向かう.

 

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展望台より,小淵沢駅を俯瞰

奥に見えるのはおそらく八ヶ岳

思ったよりすぐに見飽きたので,数分で駅舎から出る.

 

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にゃ~ん

駅前にいた猫.カメラを向けると物怖じするどころか興味深げに近づいてきた.

周辺を歩いてみたが,前と来たときと変わっていなかったので,再び駅に入った.

駅舎の1階に,土産屋と簡単な軽食スペースが設けられていたので,時間もまだ余っているし入ることにした.

 

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牛乳と信玄餅

小淵沢に来たら牛乳を飲む.なんとなく恒例になっていた.

信玄餅はおみやげに購入.

ぼちぼちホームに戻る.

 

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巫女アルバイト募集の張り紙

改札に入り,塩尻方面のホームに向かう際の跨線橋で,こんな張り紙が貼ってあった.

多分,この地域じゃかなり高めの時給じゃないだろうか.

というか,巫女ってアルバイトだったんだ.まあ別に不思議でもないか.

面接って何聞くんだろう.想像するとなかなか面白い.

 

下り中央東線ホームに降り立つと,程無くして普通松本行きがやってきた.

今回ばかりはロングシートに当たった.座れたのでよしとする.

結局,小淵沢から松本までの間も,寝た.我ながら笑ってしまう.

松本に着いた.

 

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松本駅改札口

想像以上に大きな駅だった.

先程通ってきた隣県の県庁所在地,甲府駅といい勝負ではないか.

ホームから「まつもと~まつもと~」と独特のアナウンスが聞こえてくる.

特急列車がバンバン発車する.しかも,2系統.

新宿行きの特急スーパーあずさに,名古屋行きの特急しなの.

色々感動した.

中京圏と,首都圏の間.もう少し行くと長野だが,その手前の松本も中々いい.

駅の外に出た.

 

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松本駅 駅舎

大きな広告が駅舎全面に貼られている駅は,大きな街だということを主張しているように思え,素敵である.

駅ナカ施設が充実していると,なお良い.

やはり私は地方都市が好きなのだろうか.

 

妙な高揚感のまま,早速,松本城を目指す.

寄り道しながら向かったため,20分弱かかった.

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松本城公園入り口

天守はまだ現れない.

松本城を取り囲むように松本城公園はあって,その入口にはいかにも観光客然とした外国人の人だかりができていた.

公園を突っ切る.

 

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公園入口より見える松本城

見えてきた.

すごい迫力.この距離からでも威圧感が半端なく伝わってくる.

 

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券売所

 事前に松本城について調べていた時,天守の中に入るまでに1時間はかかる,などの情報がちらほら見えて,松本に入れる時間の制約的にもしかしたらとんぼ返りすることになるかも…と危惧していたのだが,全く問題なかった.

30分ぐらいなら許容しようと覚悟を持って券売所の前まで来たら,この通りで,肩透かしを食らった.

更に,観覧料も,事前に調べた時は大人610円とのことだったのだが,この時は410円だった.あとで調べてみると,夕方割というもので安くなるみたいだ.(2017年12月現在)

 

さて,券売所を通り抜け,いよいよお城に近づく.

 

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松本城

すぐに開けたところに出た.

夕焼けによって更に映えるお姿は見事に立派だった.

手前の砂利道の両脇は,本丸跡らしく,もともとあった部屋の場所などが解説されていた.

時間も限られているので,早速,中へ入る.

 

入り口では,履物を脱ぎ,スリッパに履き替える.履物はビニールに入れて持ち歩く.

中は,やはり広くて,1フロアだけでも見ごたえがある.上のフロアへは,かなり急な階段を上ってゆく.

 

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松本城内部

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階段

中には展示もあり,昔使われていた火縄銃や,刀など,松本城にまつわる物がかなり多くあった.

全て見て回ると2時間は優に超えるだろうと思われる.

急な階段を6階分上るといよいよ最上階にたどり着き,景色を一望できる.

が,窓から風がビュービュー吹き抜け,とても寒かったのですぐに退散した.

夏場は気持ちが良いんじゃないかと思う.

急な階段は,降りるときも一苦労で,もしかしたら上るときより大変だったかもしれない.

少なくとも,片手には履物を入れたビニール袋を下げているので,人によっては両手が塞がった状態でこの急な階段を下らなければならない.

一生懸命手すりにつかまりながら下りたので,手荷物が多めの方はあらかじめロッカーなりに預けてお城に入るのをおすすめする.

 

松本城を出て,公園を少しぶらつく.

現在時刻16時半過ぎ.帰りは17時21分松本発普通甲府行きの列車に乗る予定だ.

松本城から松本駅までは,ゆっくり歩いて20分ほどなので,もう少しいられる.

といっても,特筆すべきことは何もせず,本当にただ周りを歩いただけだった.

夕暮れの松本はやはり寒く,厚着にマフラーと手袋をしてきたのだが,それでも堪えた.

 

駅へと向かう.

 

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駅へと向かう最中にある縄手通り

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松本城と駅を直交する通り

松本の街並みはいたって都会的であった.

PARCOがあったのは驚いた.多くの人とすれ違い,それ以上に,多くの車とすれ違った.

もっと時間があったら,もっと早く着けていたら,多くを見れただろうと思うと,もっと朝早く出発するべきだったと後悔してしまう.

賑やかな通りを進み,駅に着く.

かなり時間が余ってしまった.

もっとお城の中をゆっくり見れたなと思いつつ,おやきを購入し,ホームで食べる.

 

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ホームには,JR東海の特急しなのと,もうすぐ引退するE351系特急スーパーあずさが顔を並べていた.

 

おやきを食べ終わると同時に甲府行きの211系が入線してきたので乗車する.

よりにもよって,帰りの長距離列車がロングシートになってしまった.

しかし,松本を発車する頃には車内はかなり混雑していて,ロングシートである必要性が分かった.

甲府まで爆睡.

 

起きたら甲府に着いていたようで,そそくさと車内を出る.

甲府駅では30分ほど乗り換え時間があったので,お土産店を物色することにした.

この寒いなか信玄餅アイスを購入して,ホームの待合室で食べた.

少し経って,大月行きがホームにやってきたので乗り込む.

 

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ワインを購入

やってきた列車がボックスシートだとわかったので,いそいで改札口に戻り,NEWDAYSでワインを買ってきた.

大月までまどろみながら飲んだ.

飲み終わる頃には大月に着いていた.

ここでも若干の乗り継ぎ時間があったので,改札を出る.

 

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大月駅前のイルミネーション

ホームからでもこの光り輝くイルミネーションが目に入った.

クリスマスイブの夜,この時間にこの場所に1人でいることが辛くなった.

寒くなったので,改札前のベンチでこの光景をぼーっと見ながら,東京行きの列車を待った.

E233系がやってきた.

ああ,もうこの短い旅も終わりなのだなと長い編成のボックスシートを見て思い知る.

 

こうして東京に帰りました.

帰りは,乗り継ぎの時間もあったけれど,松本から5時間ほどで新宿に着くことができた.

行きは高尾,甲府小淵沢での乗り換えがあった関係で6時間かかったらしい.

 

2017冬の青春18きっぷ1回目は松本に日帰りで松本城を見に行った話,以上.

 

『げんしけん二代目』完結から1年が経過して思うこと

※ネタバレを少なからず含みますので「げんしけん」および「Spotted Flower」を未読の方は注意してください.

 

 

げんしけん』は,木尾士目による漫画作品.

オタクサークル「現代視覚文化研究会」(略して「げんしけん」)に属するオタク大学生たちの日常,特に"オタク同士のリアルな恋愛模様"を描くラブコメ作品である. 

月刊アフタヌーンにて2002年から連載され,2006年に完結.

その4年後に,『げんしけん二代目』として同誌で連載を再び開始し,こちらも2016年に完結した.

この間に,3度アニメ化がされている.

2004年に『げんしけん』,2007年に『げんしけん2』,2013年に『げんしけん二代目』が放送,他にもOVAがいくつか存在する.

げんしけん二代目』の最終巻が発売されたのは,昨年11月下旬.1年が経った.

 

私がげんしけんを知ったのは,二代目のアニメが始まって少し経った頃.2013年の夏だった.

当時,高校生でオタク真っ盛りだった私は,"毎クールの深夜アニメを欠かさずチェックし","夏冬欠かさず有明に出向き",そして,"暇があれば秋葉原に通った".

私がこれまでで最もオタクを楽しんでいた時期かもしれないし,オタクとして一番忙しかった時期かもしれない.

いつものように夏アニメをチェックしていた時は,しかし,げんしけんの存在なんて気にも留めなかった.

私の"3話まで見るチェックリスト"にすら入っていなかった.

それほどどうでもいい存在だった.

 

 

夏アニメも第3週目を周り,"切る/切らない"の選択に迫られていたある日の深夜.

7月下旬か8月上旬だったと思う.オタクとしてはたいへん忙しい時期にあった.

あと1週間か2週間かで,夏コミが始まるのだ.

 

コミケというものは,今更説明する必要はないかもしれないが,夏冬いずれも3日間連続で開催される.

コミケに参加する人々には,様々な目的があって,有明に集まる.

同人誌を買う人(一般参加者),同人誌を売る人(サークル参加者),企業ブースで物販を買う人,コスプレをする人(コスプレイヤー),コスプレイヤーを撮りに行く人(カメコ),コミケを作る人(運営),etc…

最近ではあまり聞かなくなったが,コミケにお客様はいないというのが原則で,全員が参加者だ.

その中で,私は,最もポピュラーな"同人誌を買う人"だった.

同人誌を買う人は,多くがコミケに向けて買い物リストというものを作る.

いわゆる"宝の地図"だ.これを片手にあの地獄の東ホールを延々と回るのだ.

事前に発売されるコミケカタログと呼ばれる分厚くて重たい本を片っ端から念入りに調べ,興味のあるサークル,馴染みのサークルをチェックし,ネットで頒布情報を調べ,宝の地図に書き込む,という作業を繰り返す.

 

コミケが近づくと追われる恒例行事.

つらい再行ではあるが,コミケという一大イベントに向けて行動を始める第一歩なので,同時にすごく楽しい作業でもある.

その日の深夜も,アニメを見ながらサークルリストを必死に作っていた.

見るべきアニメも終わり,テレビを付けたまま作業に熱中していたとき.

後番組で放送していたのが,『げんしけん二代目』だった.

第4話「HIGE TO BOIN」,コミフェス直前に原稿に追われる荻上らと,コミフェス1日目のげんしけんの面々の様子を描いたエピソードだ.

徹夜での原稿作業,腐女子同士のオタクなやりとり,そして女性向け同人誌を買い漁る大学生たちの姿があった.

コスプレを始め,コミフェスの待機列とスタッフの掛け声,同人サークルの最後尾札を持つ描写.

テレビ画面いっぱいに,コミックマーケット(コミックフェスティバル)とオタクが綺麗に惜しげもなく映し出されていた.

その日のうちにネットの見逃し配信で,二代目の第1話から追ったのを覚えている.

翌週以降は,録画予約とともに,リアルタイム視聴を決めた.原作漫画も即買い集めた.

 

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本作における「コミックフェスティバル」の元ネタ「コミックマーケット」開催中の東京ビックサイト

 

当時,いわゆる"オタク主人公"を題材にしたアニメやラノベが溢れていた.

俺の妹がこんなに可愛いわけがない』や『冴えない彼女の育て方』をはじめとしたその手の作品は私もラノベで読んだりアニメで見たりしていたし,ジャンルとしては好きな部類だった.

当然,それらの作中にはコミケの描写があった.オタク主人公が登場するコンテンツにコミケは欠かせないイベントとして描かれるのが常だ.

 

しかし,げんしけんは何か違っていた.

それらは「俺の妹が妹モノのエロゲーをプレイ」していたり,「幼馴染が超大手男性向けサークルの主催者で,先輩が超大物ラノベ作家」だったりで,とにかく普通じゃなかった.普通じゃない"フィクション"によって読者を獲得していた.

反して,げんしけんは(二代目こそファンタジー色が濃くはあるが),"オタクと一般人"を対比し,理想的なオタク大学生の恋愛を限りなく現実に近づけた,"限りなくノンフィクションに近いフィクション漫画"だった.

冷静に考えればありえないような展開でも,キャラクターの言動や心情がいやにリアルで,それさえも本当に起こり得るのではないか?と錯覚させるのである.

"コミケに最もいそうな人種をそのままステレオタイプのオタクとして描くこと",げんしけんはそんな普通のことを普通にやっていた.

 

もう一度いうが,年に2回の大型イベントであるコミケ直前に,これを見てしまったのだ.

当時の私に対する影響力は凄まじかったと,今でも思う.

灰色であった高校生活の日々を送り,ようやく訪れる3日間を楽しみに生きていたところに,大学生のオタク生活のリアリティに魅せられたのだ.

大学への憧れと共に,げんしけんの世界をそのまま鵜呑みにしてしまうほどであった(のちに大学に入学し,幻滅するわけだが).

 

こうして,高校生の頃にげんしけんにドハマりした.

 

 

げんしけんを語る上でよく言われることの1つに,「二代目から"ただの腐女子漫画"になった」というのがある.

無印では「男オタクによる男オタクのためのオタクサークルキャンパスライフ」を題材とし,その上で,「オタクと一般人によるラブコメディ」を描くというのが主題だった.

それまでのげんしけんには,"00年代を生きたオタクの全て"があった.

 

しかし,無印の連載が終了し,数年後に始まった二代目からは,方向性が一変する.

二代目に入り,新入生の腐女子(一応)たちがサークルに入部,徐々に腐女子中心のサークルへとシフトしていったのだ.

これまでの斑目や笹原を始めとした"男性向けコンテンツ"を嗜む"男オタク"たちは卒業というかたちで作中にはあまり登場しなくなる(斑目はちょっと違うけど).

その代わりとして,吉武や矢島,波戸などのBLを活動拠点とする彼ら彼女らが入部し,大野や荻上とともに腐女子サークルが形成された.

それでも中盤までは無印の面影を残してストーリーは展開された. 

第14巻80話,斑目が咲に告白し,フラれるという"アレ"だ.

"斑目ショック"とでも形容されそうなあの騒動までは,無印の残り香に敏感に反応していたように思う.

しかし,それ以降はまるっきり「腐女子漫画」,あるいは斑目を中心とした「ハーレム展開」となってしまったのだ.

"斑目ショック"を終えてから二代目の完結まで,無印から一変して「男オタクたち」を排除した.

最終巻の125話では,久しぶりに無印の初期メンバーが一同に集い飲み会を開くというエピソードもあったが,あれを読んでから無印を読み漁った記憶がある.

この昔懐かしい旧メンバーが出揃った125話によって,二代目の展開も,ある意味では重要であったことを再認識した.

私は"無印こそ本来のげんしけんの姿"だったと思う.

 

木尾士目が2010年から楽園で連載している『Spotted Flower』という漫画がある.

楽園は年3回の発売で,単行本は現在第3巻まで発売.

「ヘタレオタクの夫と非オタクの妻の夫婦生活」を描き,げんしけんのスピンオフ作品とも言われている.

言わずもがな,「斑目と咲」である.

咲が,高坂ではなく,斑目を選んでいたら…というif展開でストーリーは進展していく.

間違いなく分岐点は第14巻80話「いい最終回だった(告白Ⅱ)」.

「あり得たかもしれない未来」を作者自らが具体化したのだ.

 

商業誌的に衝撃展開な本作は,斑目と咲以外にも,げんしけんに登場したキャラクターと見受けられるようなキャラクターが次々と登場する.

更に,連載誌が連載誌なだけあって,表現もかなり過激だ.

いや,げんしけんが過激ではなかったというと,それは毛頭嘘をつくことになるわけであるのだが,それと比べてもはっきり言って言い過ぎではないぐらいに"過激だ".

物語の主軸が"夫婦愛"である上に,ヘタレ夫のオタクの悪い部分が存分に前に突き出てている,とんでもない漫画である(褒め言葉).

咲に関しては,本作では既に斑目との子をお腹に宿して登場するのだが,現実の性に対して消極的な斑目に対して性欲をぶつけるようなシーンも多くあり,一読者としてはなかなかに一筋縄で読ませてくれない.

今年の9月に発売された第3巻では,更に読者を悩ませるような展開となり,私もこれはどうしたものか…と頭を抱えた.

 

Spotted Flower』には,木尾士目の後悔と希望が詰まっているように思う.

 見ての通り,二代目から入ったくせに無印こそげんしけんであると言い切ってしまっている私は,なんとなく,そう思ってしまう.

"オタクが目を背けたくなるようなオタクのリアリズム"を描き,ある意味問題作だったはずのげんしけんが,いつの間にか"ハーレムルートというオタクの妄想"に移り変わってしまったことに対して,このSpotter Flowerで取り返しているように思う.

斑目と咲が付き合って子供を授かるという"オタク的ではない事実"は,作者の創作意欲が暴走した結果で,結局は,こういう話を本筋で書きたかったんだろうということが伝わってくるのだ.

連載誌を追っているわけではないので第3巻が発売された時期が二代目完結から1年が経過したことと重なる件に関して深くは言及しないが,それでも,第3巻がこれまで以上に衝撃的になったのはそういう要因もあったように思う.

第4巻が素晴らしく楽しみであり,私としてはこういう話の膨らませ方も大好物なので大いに爆発してほしい.

げんしけんについては思うところが山ほどあるので,これからも主観的に色々書いていきたい.

 

以上.