にひるなにっき

気の向くままに、気の向かないままに。

10日新宿

とあるブックオフにて.

先日訪れた新海誠展で,新海誠村上春樹を愛読していたという話を知った.

知った,というのはニュアンスが違うかもしれない.

“おおよそそうだろうと思っていた”

bound4aomori.hatenablog.com

 

ちょっと前の記事で,私が『秒速5センチメートル』に強い思い入れがあるということを書いた.

もちろん秒速の他にも,新海誠の作品には色々思いがある.

前作,『言の葉の庭』において,ユキノの台詞.

「わたしたち,泳いで川を渡ってきたみたいね」

言の葉の庭』より

 これは,村上春樹ノルウェイの森』の作中で使われた台詞だ.

これを発見したとき,ニヤリとした.

ほしのこえ』から続く,退廃的で孤独感に包まれた雰囲気は,どこか村上春樹に通じていた.

ということで,私も少しだけ村上春樹を読む.

 

最初に村上春樹に触れたのは中学2年生か3年生だったか.

個別指導の塾に通っていた頃,文系大学生のアルバイト塾講師に勧められたのがきっかけであった.

中学生と大学生という年齢差の間柄ではあったが,彼とは割に仲はかなり良かったと思う.

何を勧められたかというと,『海辺のカフカ』である.

今思うと,中学生にこれを勧めた当時大学生だった彼は普通じゃない,と今自分が大学生になってようやく気づけた.

何を思って,中学生に『海辺のカフカ』を勧めたのか.未だにわからない.

中二病の促進剤にでもしたかったのだろうか.

 

話を戻そう.

新海誠展にて,村上春樹に関する解説を読んで,最近本を読んでいなかったことに気づく.

何か買って読んでみようかということで,ブックオフに赴いたというわけだ.

しかし,もう買う本は決まっていた.

本屋は,どんな本があるか,何を読むかを探す場所ではなく,予め買うと決めておいた本を買うだけの場所になっていた.

“読みたい本を漁る”役割は,既にインターネットが担う時代だ.

というわけで,『螢・納屋を焼く・その他の短編』という本を買うつもりだった.

どちらかというと小さめのブックオフではあったが,難なく見つけることができた.

 

その本を片手に,店内を物色していると(結局は,本屋に来ると目的もなく色々手にとってしまうのだ),青春18きっぷのガイドブックのようなものを見つけた.

確か,2014年版と書かれていたような気がする.3年前だ.

ペラペラめくってみると,ページとページの間にメモ用紙が挟まれていた.

古本屋ではよくあることだが,前の持ち主の走り書きや栞がそのままになっていることが多い.

今回は売上カードの裏に書かれていた.

10日 新宿 → 伊勢

11日 伊勢 → 福井

12日 福井 14:00 → 金沢 → 富山

13日 富山 早朝 → 高山 → (バス) → 白川郷 → (バス) → 高山 16:00 → 名古屋 → (夜行バス) → 新宿(14日)

初日は伊勢神宮まで丸一日使って移動して,2日目は伊勢神宮の観光,そして福井に移動.福井で1泊.

3日目は福井,金沢と観光しながら,富山を目指す.富山で1泊.

早朝に高山に向かい,バスで白川郷まで行き,観光.夜までに名古屋に着いて,夜行バスで無事東京に帰ってくる.

この当時は金沢-富山間がまだ北陸本線であったため,青春18きっぷで完結した旅程だろう.

これを見て,無性に長旅をしたくなった.数日かけて,北でも,西でもいい,到達地点を2,3決めて,円を描くようにして東京に帰ってくる.

今冬の青春18きっぷの使用開始まで,あと5日.

どこへ行こうか.

飛騨古川へ聖地巡礼をやりに行こうかな.