徳永英明と今井美樹
平成7年生まれの私は今井美樹という歌手をリアルタイムでは知らない。
今井美樹を知ったのは、しかも今井美樹そのものからではなく、別のアーティストを経由して、である。
徳永英明のカバーアルバムが一昔前に一時期流行った。「VOCALIST」と呼ばれるカバーアルバムである。
当時は、私自身そのベストに特に興味はなかったが、母親がよくCDを流して知っていた。
何年も経った今でも、まだ覚えている。
徳永英明のオリジナル曲を殆ど知らないのに、徳永英明がカバーした曲をよく知っているというのはなんとなく失礼な気がするが、それらがよく耳に馴染んだということだろう。
中学生の終わりあたりからJ-POPに興味を失い、いわゆる"オタク"と呼ばれるものになりアニメやらゲームに熱中した。
それは大学に入学するまで続いたが、それ以降は次第に興味が薄れていき、間もなく完全に覚めた。
今度は当時とは反対に、アニメやゲームの流行についていけなくなったのだ。
それからは、手当たり次第に色々なアーティストの曲を聴いていたが、どれも微妙だった。
そんなとき、先述の徳永英明の「VOCALIST」を見つけ、聴いた。
そのどれもが、私がまだ生まれる前の曲だったが、徳永英明が間に入って、そんな曲を私にとっての"懐かしい曲"にしてくれた。
中でも、今井美樹の『PRIDE』は強く響いた。
いくら聴いても飽きない、そして、いつまでも懐かしい、そんな曲だった。
それから、今井美樹のアルバムを、聴いたことのない曲を漁った。
『PIECE OF MY WISH』や『Miss You』など、当時流行ったという曲を聴いた。
私にとってはどれも新鮮だった。
私にとっては新曲だけれども、世間にとっては過去の曲、というのがなんとなく寂しかった。
そんな曲が、しかし心地よかった。
今、今井美樹がカバーした松任谷由実の『シンデレラ・エクスプレス』を聴いて、これを書いている。
この曲は、JR東海が1987年と1992年に展開していた東海道新幹線のCMの起用曲である。*1
ただ、こうやってひたすら過去の曲を聴いて、懐古をしたいだけなのかもしれない。本当は懐かしくないのに。
槇原敬之 『どんなときも。』
"昔は良かったね"と いつも口にしながら
生きて行くのは 本当に嫌だから
カラオケでこれを歌うとき、いつもこのフレーズで、何とも言えない気持ちになる。